2009/04/15
『見よ。兄弟たちが一つになって共に住むことは、何というしあわせ、何という楽しさであろう。』
聖書:詩篇133篇1節ハートフルトポスの理念の中に<家族的関わり>というものがある。
一つのホームに5、6人という家族単位の中で2年、3年と暮らす中に、まさに家族のような関わりが生まれてくる。
そのような場(トポス)を大切にしたいと考えて運営して来た。
入居者の構成をとってみても年齢の違い、障がいの違い等が良い働きをもたらすことがある。
それが<家族的場(トポス)>の不思議な力である。
現在、最高齢の入居者は80代。ホームの『おばあちゃん』と呼ばれている。他の利用者様を子や孫のように思って接し、他の利用者様からも『おばあちゃん』と慕われている。
この様にしてそれぞれの心に『自分には役割があり必要な存在である。』という意識が生まれてくる。この様な<家族的場(トポス)>で、最高齢の『おばあちゃん』は、入居8年目を迎えるが、お体は元気になられ、心も益々穏やかになっている様子である。
また、あるホームで障がいの重い方の入居が検討された際、個別支援職員を増員し、週30時間個別支援対応でないと受け入れ不可能であることが判明した。国基準の時間数は週10時間しかなく、非常に困難であった。
しかし、本人との面接や支援している病院関係者とのケース会議を繰り返す中で、その方の入居が、本人にとって非常に大切なステップであることが分かって来た。
受け入れるか否か苦渋の決断だったが、<家族的場(トポス)>に必要な方では?と、受け入れを承諾した。
入居から数カ月、引きこもりがちだった他の利用者様にとって、その方の存在は、お互いを思いやる優しさを引き出してくれる力となった。
ホームの皆様の心温まる気遣いに、その方は満面の笑顔で応えてくれる。
「これもまた、<家族的場(トポス)>が持つ大きな力だ」と嬉しくなるのである。