2022年秋 エステル35号

葛藤することへのチャレンジ

『まず自分の目から梁を取りのけなさい。
 そうすれば、はっきり見えて、兄弟の目からも、ちりを取り除くことができます。』  マタイ7章5節

 グループホームの入居者の方々と向き合い感じるのは、彼らの中に大きな力や可能性が秘められているのに多く見過ごされていることである。
 それは、支援者がその可能性を引き出すのでなく、むしろそれを封じ込めてしまうような関わりをしているケースが多いように思われる。
 以前、「与えるだけの支援」について語ったが、今回「葛藤」することについて考えてみたい。人格的成長には「葛藤」を覚えることが必要である。「与えるだけの支援」や「葛藤することを奪う」支援は目先の対処療法にすぎない。彼らが歩む生活や人生の先にある障害物を取り除くことが支援の中心となり「病状がでないように」することが目的になってしまうと彼らは自分で「葛藤する」機会を失ってしまう。問題が起こったり、問題を起こしてしまう時に、悩み、考え、葛藤することが必要である。その時こそしっかり自分と向き合い自分自身を見つめ、自分の弱さや自分の心の中の汚れに気づき「葛藤する」。信頼する者にSOSを出す。そんな信頼関係を築くためには、支援者自身が自分の弱さと心の罪に気づく必要がある。「扱われた分だけ扱うことができる」。かつて聞いたなつかしい言葉を思い出している。

特定非営利活動法人ハートフルトポス 理事長 坪倉正史



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